いくつ知っている?タクシー業界の隠語を解説!

「お化け」「ゾンビ」!? ― タクシー業界では、一般の人には理解しにくい業界用語や隠語が数多く使われています。今回は、タクシー業界の隠語が生まれる理由と代表的な隠語について解説しましょう。

タクシー業界に隠語が多いワケ

タクシー業界で隠語が発達した背景には、業界特有の事情があります。

無線の内容が乗客に聞こえるため

タクシーの車内では、ドライバーと配車センターとの無線のやり取りが乗客にも聞こえてしまいます。この状況で、お客様に関するネガティブな情報や業務上のデリケートな内容をそのまま話すと、乗客に不快感を与えたり、信頼関係に悪影響を及ぼす可能性があります。

例えば、「酔っ払いの客で支払いが心配」「短距離で売上にならない」といった内容を直接的に表現すると、乗客との関係が悪化しかねません。そこで、隠語を使うことで必要な情報を伝えながら、乗客への配慮を保っているのです。

簡潔にコミュニケーションをとるため

タクシー乗務中は、迅速な判断と対応が求められる場面が多く、無線でのやり取りも効率性が重視されます。隠語が生まれたのは、長い説明よりも短い隠語を使った方が、素早く正確に情報を伝達できるためです。

また、運転中の安全性の観点からも、短時間で済む隠語でのコミュニケーションは非常に有効です。運転に集中しながら必要最小限の時間で情報交換を行うため、業界全体で共通理解される隠語が発達しました。

タクシー業界の代表的な隠語一覧

タクシー業界で使われる代表的な隠語とその意味を以下の表にまとめました。

隠語 意味 由来など
青タン 深夜割増料金 メーターが青色になることから
お化け 意外な場所と時間帯に乗車し、長距離利用してくれるお客様 大きな駅でもないのにタクシーが多く集まっていたら、「お化け」が出る可能性がある
カバンの忘れ物 ドライバーが無線を介して外への警戒を伝えるためのコード。不審者や犯人らしき怪しい人物をタクシーに乗せた場合の、ドライバーからの緊急の合図として使われる 関連語:大きな忘れ物

逃走中の重大犯罪者を指す隠語として、警察がタクシードライバーに向けて使用することがある。

「本日の午前〇時頃、○○(場所名)近辺でタクシーを使用したお客様が、大きな忘れ物をされました」

タクシー運転手に対して犯人の存在を知らせる、目撃情報の収集促進、ドライバー自身の安全確保および注意喚起が含まれている

ゼロ番地 火葬場、霊安室 あの世には番地がないため。霊=0から来ているという説も
ゾンビ イベント終了後の混雑時や週末の深夜など、タクシーが足りない状況で、道端でタクシーを求めるお客様の姿 多くの人々が道路沿いに手を挙げてタクシーを待っている姿がゾンビに見えることから
ネギ お客様から入った苦情 京都の「九条」ネギから
ロング 長距離を移動するお客様 距離の長さから
ワカメ 回送 海藻から

これらの隠語は地域や会社によって多少異なる場合もありますが、業界内では広く使われている表現です。

まとめ

タクシー業界の隠語は、乗客への配慮と効率的なコミュニケーションの両方を実現するために発達した業界独特の文化です。これらの隠語を通して、タクシー業界の仕事内容や職場環境を垣間見ることができます。タクシー業界への就職を検討している方は、こうした業界特有の文化も含めて理解を深めるのも良いでしょう。